服部幸應のお誕生日の玉手箱
(その5)キャビア
キャビアは、少しづつお上品にというのではなく、たっぷりほおばって食すのがいちばんうまい。時々しか食べないものだから、やっぱり豪快に食べたい。
ぼくが、見つければ必ず買って帰るのがプレス(つぶれ)といって、おせんべいでいえば、「こわれ」のようなもの。かなり、安価に手に入る。形は少々くずれているが、なに味には関係ない。むしろ、ねとっりとした感じがいいのだ。最近はなかなか出会えなくて残念だ 。
最初、フランス人は見向きもしなかった
キャビアは3大珍味とかいわれているが、キャビアが世界のディナーを飾るようになった歴史はそう古くはない。今でこそパリにはキャビアの専門店があり、量り売りもしているくらいだが、帝政ロシア時代、ヨーロッパの列強をもてなす席には必ずキャビアが供さていたのに、フランス人はあまり好まなかったそうだ。1920年頃、ロシアの商人ペトロシアンがパリにキャビアやカラスミなどの魚介類の珍味店を開店。そのあまりの高価さで話題になり、たちまちもてはやされるようになったという。
ふかしたジャガイモに穴を開けて・・・
キャビアはチョウザメの卵。3種類あって、最上級キャビアは青缶のベルーガの卵で、淡い灰色。黄缶のオシェットラは金色を帯びた茶の卵。赤缶のセブルユーガは黒に近い灰色で、粒もいちばん小さい。市場に出回るキャビアの半数はセブリューガで、ベルーガは20%ほどと希少である。
ゼブルューガオシェットラ、ベルーガなどはチョウザメ種類の名。ちなみにチョウザメはサメ類とは別の硬骨魚類だ。チョウザメの仲間は黒龍江やカナダにも住んでいるが、なぜかカスピ海産の味にはかなわない。
以前、カスピ海でチョウザメ漁の舟に乗せてもらったとき、捕れたてのオシェットラの腹を舟上で割いて、塩をふって金色に光る卵をほおばった!あのうまさは、忘れられない。
キャビアはレモンを絞り、生クリームを塗りそば粉のクレープにのせて食べるのが一般的だが、ふかしたポテトに穴を開け、詰め込んで食べるのが応えられない。ぜひお試しあれ。